白昼夢中遊行症

断想

人生に行き詰まると、決まって日記を書く頻度が上がる。だからと言って大したことを書くわけでもないのだが。不平不満をやたらと口にしたがる。さらにいえば、そのために時間を割くのだ。その時間を読書とか眠りに捧げた方がよっぽど有意義だろうに。

もううんざりなんだよ、この人生には。この人生というより、自分自身に心底うんざりしている。おれとして生きるのにうんざりだ。かといって、生きたい他人の人生というのも特には思い当たらない。いや、これは自分の現状を受け入れられないから、こうして自分でもわかったようなふりをしているだけなんだ。本当は何にもわかっていないのに。

そもそも生きるとか死ぬとか、そんな言葉は本来気軽に使っていいものではないだろう。そうした言葉をあえて多用することで、自分は何かを悟ったのだということを装っているに過ぎないのだ。くだらない。ちゃんとした言葉遣いを知らないから、他になんて言葉で自分を表現したらいいのかわからない。おれは今までの人生で何もしてこなかった。何も積み上げていなかった。人の積み上げてきたものをただただ見上げて、その上の人間に自分を重ねているうちに、自分が偉くなったように感じていただけだ。

いや、見上げていたものだって、本当のものかも知らない。この目だって信じられない。裸眼では何も見えない。この目は一体何を写しているのか。

なんにもなかったこの人生。うんざりしたこの人生。失望しかない。主に自分への失望。また人生とかいう曖昧な言葉を使って、自分が何を言いたいのか自分でもわかっていないのをごまかして、そうやって生きてきたから、今だに自分というものがわからなくて、口を閉ざすべきだ。こんな口は黙れせてしまえ。できることなら今すぐにでも黙らせてやりたいところだよ、自分でもそう思う。だけどこの夜の静かさに耐えられないから、こうして喋らずにいられないのだ。しかしこの声を聞くくらいなら静かなところのほうがいい。何も聞こえない、何も感じず、何も考えずに、生命機能の維持だけに集中できるような生き物だったら良かったのかもしれない。今の方がましかもしれない。モルゲッソヨ

明日も早い、というわけではないけれど、夜は寝るべきだというのに、またこんな時間まで夜更かしをして、かといってしないといけないことに何一つ手をつけず、気づいたらこんな時間だったんだ。夜は寝るべきなんだ本当は。余計な考えが頭の中を覆い尽くしてしまう前に、さっさと寝てしまうべきなんだ。良い子でいたいのならば、おとなしく寝ているべきだ。おれは良い子でいたいのか。おれは都合の良い子だと思う。良い子でいれば、何もかも与えてくれる段階はもう終わったし、そもそも良い子でいたっていいことなかったぞ。