白昼夢中遊行症

断想

おれがいつでも眠れないのはつねに何かが気がかりだからだ。心配事は絶えず、それについて思いをめぐらせることをやめられない。おれがいつでも眠れないのは、その日になしえたことををいまでもしようという気持ちを捨てきれないからだ。おれは今日、少なくとも一冊くらいは本を読み終えることができただろう。おれは今日、まだ日記をつけていないけれど、今日は本当は書きたいことがあったのだ。おれは今日、あまり運動できていない。いまからでも歩きに行って足の衰えを改善するべきだ。それに、明日は雨が降るらしいから、明日一日引きこもっていられるように、食料を買いに行った方がいい。いまからでも起き出して、おれは外に出るべきだ。などなど。おれは眠りを押しのけて、それらの行動を選び取ることができる。それらのことをする機会を逸してるわけではないという事実、いまからでも遅くはないという事実が、おれを安心して眠らせてくれない。それらの一切を断念しないことには眠ることはできないが、おれはそれらのどれ一つをも諦めることができない。