白昼夢中遊行症

寒くないので鍋ではない

先日、服をネット買い取りに出した。その査定結果がメールで届いた。総額6万円くらいの4着の服が9,400円になった。まあ、1, 2回しか着ていない服だったから、そんなもんだろう。予想より高かったくらいだ。

最近、何度も服を捨てているが、捨てても捨てても減った気がしない。いまもまだ、自分が何をもっているのかすらわかっていないくらいだ。実際に使っているのは限られているというのに、タンスの肥やしになっている服があまりにも多すぎる(ただし、タンスは所持していない)。

普段着ているのはハイネックのTシャツとデニム。人に会うときはトップスを白シャツにしているが、基本的に毎日そんなもんだ。今年はまだまだ暖かいってか暑いので、インナーを中に着ている以外はなにもない。それでも汗をかくくらいだ。どうなってんだ? 鍋食ってる場合じゃないぞ、これ。

その上に何か着るにしても、1, 2枚くらいだ。それに、それらを身につける機会はほとんどない。散歩すると勝手に体温が上がっていくし、店の中は空調が効きすぎている。寒いと感じるのは家でじっとしているときくらいだ。家のなかで着込んで外に出かけるときに羽織っているものを脱ぐという、端から見れば倒錯した行動をとることもあるくらいだ。アウターもそんなに分厚いものは必要ないかもな。とかいって、毎年冬の寒さを忘れているんで、冬の寒さが記憶していた以上のものだったときのことを恐れて、ひとまずいくつか残している。

なんにせよ、余計な服を買いすぎていた。いまでは減少傾向にあるが、一時期はまったく何がなんだかわからなくなっていたこともあった。何がなんだかわからないあまり、結局、寝間着にしていたミズノのジャージで出回るようになっていた。

出かける前に着る服について考えるのはあきらかに効率が悪い。思えば、高校を卒業するまでは制服か部活で使っていたTシャツしか着ていなかったので、そのことに気づくのにもずいぶんと時間がかかった。それだけ多くの金と時間をむだにしてしまった。金と時間がなくなると、それだけ精神をすり減らすことにもなった。着る服をこれだけと決めてしまうようになって以来、ずいぶん楽になった。今となってはどうしてそんなにいろいろと服を買っていたのかのほうがわからない。

とにかく、おれには服を娯楽にするには向いていなかったようだ。毎日何を着ていくか考えるのは面倒でしかないし、メンテナンスは怠りがちだ。メンテナンスをすること自体は嫌いではないが、おれは気を抜くとすぐに、生きる以外のことをしなくなる。つまり、食べて、出して、眠ることだ。最近のおれも、気を抜いているので、食べて、出して、眠るばかり。

今週のお題「鍋」