白昼夢中遊行症

断想

明日の降水確率は100%らしい。今日は雨が降るはずだったのだが、降らなかった。天気なんてどうだっていい。しかし、何もすることがなく、何かをする気が起きないとき、わたしは決まって天気予報を見る。なんだかそれが自然に見える気がするから。

誰が見て、それを自然と思うのか、それは知らない。知らないけれど、わたしは自然を装う。自然を装うけれど、それは装いにすぎないから、簡単に看破される。誰にされるのか? それは分からない。分からないが、なにかが、わたしの心中を見透かしていて、わたしはあまりに多くの偽りを身にまとっていることを否応なしに気付かされて、わたしはわたしが心底嫌になるが、それでもわたしはわたしでしかなく、それ以外ではいられないから、私はひとり、わたしだけの苦しみを甘んじて受け入れるほかないのだ。

わたしには、わたしにしか生きられない地獄がある。あなたがひとりで生きているそれと同じように、わたしにもある。わたしだけでなく、すべての人間に割り当てられたものがあって、各々、それを生きなければならない。

わたしは、夢のような、幻のような、なにか掴めないものを、掴みどころのないものを、唯一の手に入れることができる真のものだと思い込んで、それを追いかけ続けていた、ような気がする。もっとも手に入らないなにかを、もっとも手近にある希望と誤って見做して息を急ききらしていたような、気がする。それはまったくの無駄だったのだろうか。そう思いたくないけれど、無駄だっただろうな。

何もこの手に残っていない。わずかなものも、すべてがこぼれていった。いや、掴んですらいなかった。通り過ぎていっただけ。わたしはそれを、見送った。ただ、それだけ。

明日は降水確率100%らしい。傘を持って出かけなければ。雨に降られないことが、そんなに大事なこととは思われないけれど、風邪はひきたくないものな。