白昼夢中遊行症

断想

最近、といってもここ一年くらいの間で、買ったけれどまだ読んでいない本が、けっこうたくさんあるような気がする。機会があれば、それを列挙してみて、なにがあるかを確認しないと。

少し前、といっても2, 3か月前のことだが、ルソーの『孤独な散歩者の夢想』を、すでに持っているにもかかわらず、新たに購入してしまった。そんなこともある。さいわい、まったく同じものではなく、岩波文庫新潮文庫のものだから、読み比べるために買ったことにすればよい。

書店に『ポータブル・フォークナー』が並べられていたけれど、手にとって重さを調べただけで、買って帰りはしなかった。

『オーバーストーリー』もあった。以前はなかった気がする。結局のところ、なにも買って帰らなかったのだけれど。

歩きながら考えられたこと以外、耳を傾ける価値はない、と、誰かが言った。それに対して、まったくだ、と、ほかの人が言った。それを読んだわたしは、本当、その通りだよな、と思いながら、そのときのわたしは長いこと歩いておらず、歩き方すら忘れていたので、しかもその上で何かを考え、話そうとしていたので、何か後ろめたい気持ちになって、それをそっと本棚に戻した。

今日、書店を歩きながら、その言葉をもう一度聞きたい、いまの自分の反応を知りたい、と思い、呼んでみたけれど、返事はなかった。いったい、どこへ行ってしまったのか。

ずっとぼんやりしていて、何度かエスカレーターを逆走してしまった。嘘だ。何度か、ではなくて一度だけだったし、逆走してしまったのではなく、逆走しそうになっただけである。

寒暖差の大きい季節だから、風邪をひかないように。