白昼夢中遊行症

ad libitum (about pain)

苦しみを「苦しみ」という言葉で画一化されたくない。
だけど世界の目立つところには、こうした「わかりやすい」言葉がデカデカと居座っているから、「苦しみ」の中にもぼくらの居場所はない。

(寄る辺のないぼくらの苦しみは旅をする。
どこか遠いところ、言葉の端端を縫って、
銀河鉄道の彼方へ)

怒りや悲しみも同じだ。あるいは戦争被害も原爆も、震災も火災も強盗も疫禍も餓えも引きこもりも売春も窃盗症も強迫神経症も違法労働も。

そうした言葉に押し込められる痛みというのは、身を捩り切られるようなものだ。

だから理解しようとしないでください。
そのような簡単な言葉では。
寄り添わないでください。
ともに死ぬ覚悟もなしに。
余計な苦しみを与えないでください。
一人で苦しみ抜くために。