白昼夢中遊行症

断想

手で文字を書いていないと、字が汚くなるうえ、漢字も書けなくなる。

眠れないから仕方なく、寝ないことにした。寝過ごすというリスクを回避した代わりに、パフォーマンスを犠牲にした。いまにも眠りそうだが、いまさら眠っては、せっかく回避したリスクに、より危険な状態に挑むことになる。それで何度、人生を誤ってきたことか。

ぼくにはぼくの世界の見かたというのがあって、ぼくはぼくの目を通してでしか世界を見れず、したがって、言葉で何かを語るにしても、ぼくの言葉として語ることができるのは、ぼくが見た世界についてのみで、それ以外については、ほかの人の言葉を借りないといけない。ほかの人の言葉を借りないと、ぼくはほかの人の目線でものを見ることができない。ぼく自身の目に映るのは、しみったれた世界の片隅のみである。ぼくの言葉で語ることができるのは、しみったれた世界の片隅についてのみである。そこには何の美しさも、正義も、愛もない。