白昼夢中遊行症

筆を折る

けさ、筆を文字通り折ってしまった。ハンズで安くなっていたパーカーのソネット

そこまで高級なものではないが、自分が持っている万年筆の中では一番いいものだ。そして、「#3776 センチュリー」の次に愛着のあるものだ(といっても、万年筆はこれらの他にあと一本、Auroraの鉄ペンがあるくらいなのだが)。センチュリーは樹脂製であったことと、持ち主の適当な性格からくるぞんざいな扱いのせいで軸の部分にひびが入り、そこからインクが漏れ出すようになってしまったので、今はもう使っていない。

そうなると、パーカーのこれがもっとも頻繁に使う万年筆、ということになる。それを折ってしまった。これもまた、適当な性格のなせる業であると言えよう。本来、万年筆などというデリケートなものを扱うには向いていないのだ。

キャップをしない状態で机に置いて、その場を離れてしまった。ソネットは机を転がり、床に落ちた。万年筆はペン先のほうが重いので、ペン先を下にして落ちる。床には段ボールが敷かれており、それほど硬くはないが、18Kのやわらかいペン先を曲げるのには十分の硬さだった。落ちた万年筆を拾い上げて見ると、ペン先がはっきりと折れ曲がっていた。

慌てた私はティッシュでペン先をくるみ、ノートに押し付けて力を加えた。それで元通り、とはいかない。当然のことながら。

使えるようにはなったものの、ペン先がかすかに波打つような形になってしまった。

インターネットでどうすべきであったのかを調べたところ、下手に触らず修理に出すべきだったようだ。その通りだった、と思う。

落下によって一か所に力が入ったことによる変形に、さらに手で力を加えたことによる変形を加えてしまった。それによって、症状はより複雑なものになってしまったといえるだろう。もしかすると、プロの人ならば、この程度であればすぐに直せるのかもしれないが、余計なことをしてしまったのは事実だ。

仕方ない。やってしまったことは、もうどうにもならない。幸い、近々出かけられる範囲でペンクリニックをやるらしいので、そこに申し込んでみようと思う。

写真ではよくわからないが、光の反射からペン先に微かなゆがみがあるのがわかる。