白昼夢中遊行症

断想

「本質」という言葉を多く用いる人間ほど、その物事の本質を捉えていないものだ。実際に本質を捉えている人であれば、それは「本質」とは別の言葉で表現する。本質を語るのに、本質がどうのと語る者は、物事の本質を捉えていないどころか、それを隠して、自分はさも知っているかのようなふりをして、偉くなったかのようないい気分になっている。そいつが気に食わない奴であれば、「君のいう《本質》というのが一体どういうことなのか、僕には分からないな。ちょっと詳しく教えてくれないか」と言ってみるといい。たちまちそいつは真っ赤になって怒り出すだろう。あるいはまた、本質本質と、煙に巻くだろう。どちらにせよ、奴の自尊心を少しばかりでも挫くことができるだろう。