白昼夢中遊行症

断想

今日もいろいろあったのだが、いつもより眠たい。なので、記録は適当に。午前に用事を済まして、外出のついでに街の方まで歩いていった。書店で本を三冊買った。

映画を見た。いまさら、『アリスとテレスのまぼろし工場』を。アリスもテレスも工場も出てこない。工場は出てこないが製鉄所が出てくる。(製鉄所も工場だったかしら。)アリスとテレスは出てこないが、アリストテレスについては、その用語である「エネルゲイア」について少し言及があった。哲学で論文を書いたくせに、アリストテレスについて不勉強なおれは、エネルゲイアがわからない。わからないので、とりあえず辞書を引いた。おれの先生、精選版日本国語大辞典

エネルゲイア
〘名〙 (ギリシアenergeia) アリストテレス哲学の概念の一つ。可能的な状態にあった事物が実現される場合、その現実化する活動または現実化された状態をいう。現実性。現実態。顕勢態。↔デュナミス

なるほど、わからん。わからんが、可能な事物を「現実化する活動」というのは確かに作中ですこしポイントになっていたようにも思う。たしかに、あれはなにか、可能性を現実化する話とも読めるようにも思う。

が、そんなことはまあよい。そういう深読みをするには、何度も見ないといけない。そういうのは専門の人にまかせよう。(そもそも、もう一度観たくてもやってる館がない。)それよりもむしろ重要なのは、この映画がおれにとって面白かったかで、その点この映画はおれ好みの面白い映画だった。映像に関していえば、まず光の表現が良かったと思う。実際、ショッピングモールで予告を見かけて興味を惹いたのは、この光の加減が醸し出す、ノスタルジアとエロティシズムを感じさせる雰囲気だった。ラストの製鉄所のシーンとか、ちょっと泣いちゃったね。中島みゆきも流れてくるし。話の内容も概ねよかった。おれの好みをいえば、もっと展開に乏しいものの方がいいのだが、興行的なものを考えると、そんなものはそうそう作られないので、そんな変な期待はしない。登場人物はいくらか捻くれているようにも見えるが、全体の筋をみると王道的というか、角川の「メディアワークス文庫」を繙けば頻繁に見られる筋書きだ。実家のような安心感。展開の妙ではなく、どのような人たちを、どのように見せるかで勝負しているのだ。音楽もよかった。横山克だからか、安定の。外さないね。ただ、音量が大きい場面で音割れしていたのが気になった。まあそれくらいで、十分満足のいく映画だった。よかった。