おれたちは飼われている。飼われているからこそ、手綱を握る者が、おれを谷底へと導いていかないよう、しっかりと目を見開いていないといけない。
というのに、馬車馬というのは脇見をしないように目に覆いをされるらしい。たしかに、飼い主どもにとって見られて都合の悪いものは多いのだろう。
目隠しして追いやって、いざ落っこちそうになったら乗り捨てるんだぜ。そんな奴に乗っかられたなら、もう諦めるしかないのか。
ならせめて、楽しい夢を見させてくれ。
偽りでもいい、幸せというのをおれにも教えてくれないか。
それすらも許してくれないのか、おまえたちは。