白昼夢中遊行症

断想

「この人生は生きるに値しない」

わたしはこの言葉が好きではない。なぜなら、まるで生きるに値する人生があるみたいに聞こえるからだ。

あるいは、そうした人生があるのかもしれない。しかし、それはおそらく血に塗れていて、それでいてそれを直視しないものだろう。

それに、そもそも人生について、人間の尺度で測って、一定の価値をつけられると思い込んでいるところからして大きな思い違いをしている。思い違いをすること自体は仕方ない。しかし、自分は思い違いをしているかもしれない、などとすこしも思わず、人生の無価値をまるで世紀の大発見のように誇らしげに掲げるのは、見ていていたたまれない気持ちになる。

そんな姿を、わたしはあのとき、一緒に飲んでいた友人の目の向こうに見ていたのだろうか……