白昼夢中遊行症

断想

0:08 AM (10/12/22)

今日は歩いた。朝、喫茶店から出て、そこで見た空がどうしてかわたしの心を打った。なんだか気持ちが軽くなって、午後にはいつもと違う方面へ歩いていった。橋を渡って東へ。とてもいい気分だった。墓のある寺へ行ったまではよかった。たまには行ってみるか、と軽い気持ちで北のほうへ行った。坂の上にある、有名な寺のほうへ。この判断が誤りだった。まともに歩けないほど、人で溢れかえっている。ここだけは2020年以前と変わらぬ景色。綺麗なのは空の色だけだ。その空も、曇りだした。くもりぞらも、嫌いではないけれど……

まあ、こんなこともある。そこからさっさと離れてしまえば、なんてことはない。わたしは排除された人間だ。こんなことには慣れている。

階段を勢いよく降りて、膝を少し痛める。この身体も次第に古くなって、いつかは使えなくなるだろう。それまでは歩く。生き急いでいると言われたこの足取りで、わたしは歩き続ける。

そう、いずれ歩けなくなるまでは……

——歩くこと、夢を見ること
わたしをわたしにするのはそれだけだ。