白昼夢中遊行症

ひさびさに酒に飲まれた

f:id:bounoplagia:20190318224225j:image

酒飲んでゲロ吐いた。その気持ち悪さを引きずって今日という一日は過ぎ去っていった。

おれは飲み会というのがあまり好きではない。飲み会ってのはたいていが飲み放題で、飲み放題というのはなにか酒というものが軽視されているというか、酒をじっくり味わうことがなく、その分飲む量が増える。まあ、それを自制するのがまともな人間だと言われればそれまでだが。

そんで気づけば許容量を超えた飲酒をして、フラフラになって便器に顔向けて過ごす。さいわい、今回は周りにほとんど迷惑をかけなかった。というか、だれもおれが酒に酔って意識朦朧としていたことに気づいてはいないだろう。解散する直前までまともな振りをして、店を出たらそそくさと自宅まで帰っていき、家の便所で吐いて、そのまま寝た。おれはなぜか意識がなくても家に帰れる人間というか、意識のレベルが低下すると本能的な部分が出て、その中でもおれの場合、帰巣本能が強くはたらくのだろう。何度か酒に酔って意識がほとんどない状態で帰宅するということがあったが、その状態で自力で家に帰れなかったのは一度だけだ。他人に迷惑をかけたのもその一度きりだ。

しかしどうして、そこまで酒を飲んでしまうのか。その一つには、おれが飲み会が嫌いだというのがあるだろう。嫌いだから、記憶がなくなるまで泥酔したいのだ。それが自分本位であることは承知しているが、それでも、おれはそうせずにはいられないのだ。酒は好きだが、飲み会の酒というのは味が感じられない。ただのアルコールの入った水だ。だから味わうことなく次々と飲み進めてしまう。飲み放題なのだから、飲まねば損をする、というケチな根性も働いているのかもしれない。ともかく、飲み会ではおれは飲まずにはやってられない。それでも人にはあまり迷惑をかけたくない、という気持ちが最後の一線として残っていて、それで飲み会が終わるまでは極力素面の振りをするし、飲み会が終われば歩けなくなる前にまっすぐ家に帰る。最低限残った意識を総動員して、家に帰る。

帰れなかったのは一度だけだ。そのときはどうしてか二次会にまで行ってしまい、カラオケの部屋からトイレに行く振りをして脱走して、家に帰る途中で路上でぶっ倒れた。そのときは、とぎれとぎれの記憶から察するに、通りがかりの男二人に助け出されて自宅まで送ってもらった。そして、あとから話を聞くからには、飲み会にいた人らは、おれの行方を捜すことと、生存の確認に気が気ではなかったという。そんなことがあった。一年くらい前のことだ。

酒は一人か、少人数で飲むに限る。改めてそう思った。