白昼夢中遊行症

断想

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歩いていると、いきなり地面が解けるような錯覚に陥ることがある。目の前の景色がぐにゃりと歪んで、立つことがおぼつかなくなる。そういうとき、だいたいの場合はろくなことを考えていない。ぼくはいつもろくなことを考えていないので、こうしたことはよくあることだ。

 

昨日、というか今朝は六時に眠りにつき、十四時過ぎに目を覚ました。

夜眠れないというのは不正確で、ぼくはそもそも夜に眠るつもりがない。だから、まっとうな人間にはなれっこないのだ。もとより、まっとうな人間になんてなるつもりがない。この世界に間違って生まれてきたという確信を捨てないでいるということはそういうことだ。

アルバイトのシフトから深夜帯をすっかり削って半月以上経つが、夜に寝て、朝に起きることに成功したためしは一度もない。今でも、今日こそはと思っているのだが、たぶん今日もそれは果たされないだろう。

曇り空。雲がなければ日も傾き始めたかという頃に家を出て驚いた。外気が部屋の中よりも暖かかった。昨夜は雨が降っていた。春というのは雨が降るたびに近づいてくるというので、もう春もすぐそこというわけだ。というより、春が、冬を完全に追いやろうというところだ、といった方が正しい気がする。現在の気温は18℃で湿度は65%と、ぼくにとっては快適な環境だ。

 

人とのかかわりというのをずっと避けている。ひとたびそれが始まってしまえば、どういう道をたどるにせよ、最終的に行き着くところは失望でしかないからだ。それも、失望のために失望するのではなく、別の感情を覆い隠すための失望をする。打算なき友情というのをぼくは信じない。とはいえ、このようなぼくのもとに、避けるべき人とのかかわりなどというのはほとんど訪れないのだが。

孤独でいれば喜びを感じられないというが、孤独でいれば悲しむこともない。ぼくは人とのかかわりの中で生まれる喜びをなげうってまで悲しみを避けることを善しとしている。しかし、ぼくはいまだに決めかねている。本当にそれでいいのか、と。