ここ数日、金がねえから一日一食しか食っていないが、ひもじさよりも食べるという面倒な行為から解放されたというのがまさっている。これは楽でいいな。金がないおかげで、食べないことの大義名分を得たという感じだ。もともと、食べることにそれほど執着はしていなかった。おいしいものを食べるのが嫌いというわけではないが、ものを食べるという行為の、効率の悪さにはうんざりしていた。そういうのもひっくるめて楽しめるのは、金持ちの道楽だと思っている。よほどの金と時間を持て余した奴でない限り、食べることに重きを置くのは無駄なことだと思う。
とはいえ、最低限の食事でも必要な栄養素は十分に摂取しないと、鬱みたいになるというのは自分の体で実証済みだから、一応は体調には気を配らなければならない。体調を崩してしまえば、金も時間も一気に吹き飛ぶ。それでは元も子もないというものだ。
おれはこれでもまだ学生として生活ができている。そして学生である以上、ゼミやらなんやらというのにも所属していて、当然そこでは発表することがあったりなんかもするのだ。その発表とやらが近づくにつれてどんどん憂鬱になってくる。早いこと、その日をどうにか切り抜けるめどを立てたいところなのだが、今日一日は語学の勉強で吹き飛んでしまった。あと何日あるのか、数えていない。が、もうそろそろだ。そろそろだが、ほとんど何もやっていない。一応、その日の構想は立っているのだが、具体的な準備にはまったく手をつけられていない。
とはいえ、どうにかなるだろう。これまでもどうにかしてきたのだ。少なくとも今年は。
そこさえ乗り切れば、当分の間は心配事がなくなる。楽しみにしていることもある。というのも、おれは小野不由美の十二国記シリーズの愛読者であって、もうじき『白銀の墟 玄の月』の後半が発売される。
こいつを読まずして死ぬわけにはいかないのだ。だからどうにか切り抜けるほかないのだ。