白昼夢中遊行症

断想

失われた想い出を取り戻す、といった内容のゲームが、今や思い出されるのみのものとなって、ひと月以上が経った。もうそんなに経ったのか、という思いと、まだ一ヶ月しか経っていないのか、という思いが入り混じっている。鮮明だった想い出は次第に薄れ、淡いパステルカラーへと移り変わり、そして色を失っていく。今日日ゲームというものは次々と出てきては、消えていく。みんなそんなゲームがあったことも忘れてしまう。せめて自分は、それを覚えているいく人かのうちの一人でいたいと思ったが、もうすっかり意識に上ってこないようになっていた。なんだかそれが寂しくなった。みんなこの世の中に生まれてきては、いずれ死んでいく。そして忘れられていく。なんのためにぼくたちは生まれたのか。それはこの無常の悲しみに打ちひしがれるためなのだろうか。そして、他の人たちにもまた、とるに足らぬはかない命の死をもって同じ悲しみを教えるためなのか。