白昼夢中遊行症

断想

 

bounoplagia.hatenablog.com

 

ここで「バイトをやめることになった」と書いたのは「バイトをやめた」とは違うからだ。かといって、べつに問題を起こして懲戒解雇になったわけではなく、バイト先から自主退職を促されたのだ。バイトをやめることになった起点が自分ではないので、「やめることになった」とした。

バイトをやめることになったいま心配しているのは、ちゃんと退職する前に有休を消化させてくれるのだろうかということだ。おれはバイト先の人たちを(というか人間全般を)信じられないので、うやむやにしたまま解雇されるんじゃないかと思ってしまう。

考えられるケースはこうだ。自主退職を促す言葉が、じつは解雇告知のつもりだったと言い張って、三十日後に解雇される。そして有給が水泡に帰してから、それは申請しなかったそっちの落ち度だと言ってくる。おれはこの辺の法律に詳しくない。というかどの辺の法律についても詳しくない。おれは法学部ではないし、法学部志望でもなかった。だからちょっとネットで調べた程度の知識で話しているのだが、こんなケースがあり得るんじゃないかと疑ってしまうのだ。

しかし、疑ってしまうのはいつまでも克服できない被害妄想癖によるものが大きいだろう。ちゃんとおれは退職することになるのなら有給を消化したいという意志を表明している。そしてそれについて対応するという返事ももらっている。おれの不安は、ひとえにおれの人間不信によるものだ。

 他にも不安はある。シンプルに、収入源が断たれたということだ。毎月なんだかんだいってほとんど差し引きゼロの家計で、しかもここ二ヶ月は赤字になっていた。それくらい金を使っていたのだが、今月からそうはいかなくなる。新しいバイト先を探す気にもなれない。もうしばらくは、働くことはたくさんだ。

すると、生活費が大幅に減ることになる。さいわい、死なない程度の金銭的援助を親から受けているので死ぬことはないだろうが、この体に染みついた浪費癖がおれを苦しめることになるのは大いに予想される。毎日欠かさず飲んでいた酒はほとんど飲めなくなるだろう。食費も半額に抑えないといけないだろう。光熱費はどうにもならない。読みもしない本は買ってはいけない

あれ、それは良いことなんじゃないか。酒はトラブルしか起こしてこなかったし、ずっとやめなければと思っていた。食事も、酒のつまみ代が消えれば二割くらいは減るだろう。そしておれは(能力的には)自炊のできる人間だ。さすがに餓えれば自炊をめんどうくさがったりはしないだろう。読みもしない本を買って、日々高くなっていく本の山を見てため息をつかなくてもよくなる。少なくとも、悪いことばかりではないような気がしてきた。

まあ、まだおれにとってこの変化がよいことであるか、悪いことであるかは未確定だ。どうなるかおれには知るよしもない。よいことになるかどうかはおれ次第なのかもしれないが、おれは自分に自由な意志があるということに少々懐疑的だ。よくなるのならよくなるほかないし、悪くなるのなら悪くなるほかない、とおれ自身は考えている。要するに、なるようにしかならぬのだ。