白昼夢中遊行症

まっとうになれない自分から目を背けるためじゃなく、昨日よりもましな今日の自分をたたえるために酒を飲みたい。

当然、これは酒を飲みたい誘惑についに屈してしまった自分を慰めるために思いついた文句なのだが、しかしこれはよき酒との付き合い方のひとつだと思うし、こうした酒の飲み方がしたいという思いは、まったくの嘘っぱちでもないと思う。

ここのところ、酒とは距離を置いていた。それはそんなものを買う金がないというのもあったが、それ以上に、酒とうまく付き合えていないからであった。酒とうまく付き合えていないからこそ、ちょっとでも酒を飲むと歯止めがきかなくなり、過度な飲酒にはしり、余計に金と時間を無駄にすることになる。そういうわけで、ひとまず酒は飲まないことにしていた。あと、分別が面倒というのもあった。

しかし、最近暑くなってきたじゃないですか。だから、散歩の帰りがけの買い物で、うっかり買ってしまったんですよね。さすがに瓶に入ってる高いやつとかは買わなかったんですけど、発泡酒でもリキュール(発泡性)①でもない、正真正銘のビールを買ってしまっていた。昼間でも罪悪感無く飲むために、リキュール(発泡性)①も買ったけど。そして結局、昼間は一度冷蔵庫で冷やそうと思ったっきり飲むのを忘れて、今はリキュール(発泡性)①を飲みながらこれを書いている。

おれの酒に関する記録なんて散々なものだ。

 

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散々なときにしか記録しないからなのかもしれないが、酒を飲むといつも何かよからぬことをしでかしてしまうという自分に対する自分の印象があるので、人前で飲むことがあまりない。そもそも今は一緒に飲むような友人もいない。

ここ最近(飲まなくなる前は)は、酒を飲むためじゃなく、酔っ払うために飲んでいたと思う。少なくともビールなんて飲まなくなっていた。度数が高くて、かつ飲みやすいものを選ぶようになっていた。おれの場合、濃いめに作ったハイボールか安ワインということになっていた。たまに味変にビールらしきものを飲みたくなったときにも、ビールは飲まなかった。ビールらしきものが飲めればそれでよかったから、リキュール(発泡性)①を飲んでいた。たいして酔えなかったし、酔ったとしてもそれで現実が変わることはなかった。当たり前か。それ以上に、どんどん軽くなっていく財布に胸が締め付けられるようだったし、二日酔いになるとその日の半分以上が台無しになる。自分にとってもはやマイナスでしかないような習慣になっているのにやめられないということに危機感を覚えて、酒から距離を置くことにした。

しかし、もともと自分は酒が好きなのだ。酒に酔うことではなく、視覚や嗅覚、味覚を楽しませるものとして酒が好きなのだ。もともと酒を飲むこと自体が好きで、それ自体が目的だったのに、いつの間にかそれで酩酊して心地よい恍惚に浸ることが目的となってしまっていた。これはあまり健全ではない。恍惚の代わりに暴力や暴言が出ることが半分くらいの割合である時点で、まったく健全ではない。しかし、もとはといえば、酒を飲むこと自体が自分を楽しませていたはずだった。そうした距離感を取り戻したいという思いは、酒との距離感を見失って以来、いつでも持ち続けていた。

今日は酒を買ってしまい、その自分への言い訳としてこの文章を書いているにすぎないが、それでもこれはおれの本心のひとつなのだ。だから、おれは今度こそは、と思いながら、今日買ってきたいくつかの酒を大事に飲むことにする。