白昼夢中遊行症

「私は戦争を支持しています」

誰も自分の思い通りになることが、少しでもあると思わなければ、戦争なんて起きない。戦争は愚かな人間の、浅はかな思い上がりによって起こるのだ。

だから、反省しないといけない。おれも、あんたも。

だって、おまえは不満に思うことがあるだろう?
おまえは怒りをいだくことがあるだろう?
おまえは、ほんの些細なものであれ、なにか欲求を持つだろう?

おまえは当然のごとく雨風をしのげる家に住んでいるだろう?
四方を壁で囲い、その内側を不可侵のものとしているだろう?
家に虫が入れば、殺してしまうか、家から追い出すだろう?
家に見知らぬ人が入れば、警察を呼んで国家の名のもとに追い払うか、やっぱり殺してしまうだろう?

そうだ、国もそうなのだ。国の土地に見知らぬものが入ってきたら、どうにかしないといけない。国には警察がないから、殺してしまうことになる。国が国を殺そうとすること。それが戦争だ。しかし、どう考えてもおかしい。正気とは思えない。

いったい、その土地は誰のものだ?
原初の人間は、何もないところに線を引いて、その内側を自分のものとした。これが所有の始まりだ。
いったい、誰のゆるしを得て、それは誰かのものになったのだろう?

否、それは誰のものでもないはずだ。
そうだというのに、不当に権利を主張しているのだ、みんな。おれも、おまえも。

そうでないと生きていけないので、生きていけないと思い込んでいるし、この思い込みがなくならない限り、実際に生きていけないので、生きていくことはできない。なので、生きている限り、人間はみな、戦争を支持しているのだ。

戦争を支持しない人間がいるとすれば、それは未開の人間だ。何も持たず、何にも所属しない人々だ。しかし、我々はそうした罪を背負わぬものの存在が気に食わないらしく、そうした人々はみんな、殺されるか、われわれの側に無理矢理に引き込まれるかしてしまった。

だから人類みんな戦争支持者だ。バンザイ。